2011年10月号

このブログの中で、月例の新企画を始めてみたいと思います。
本来英語で書く順番ですが、この企画は日本語でやらせてもらおうと思います。
勝手なルールですいません。


その新企画とは何かといいますと、私が定期購読しているNewtonの内容で特に興味を持ったこと、皆さんにとって興味がありそうなことを、主観で選抜し、その内容を述べさせてもらうというものです。


全然大それたことではないですね。これをやりたいと思った動機は、Newtonで得られた情報を自分の中に残しておきたい。でも、ノートや自分の電子データに書いたところであまり面白くない。



ブログなら、自分が得た情報を整理することはもちろん、得られた情報をほかの人にも共有できるので、一石二鳥かなと。独りよがりな企画でごめんなさい。



早速ですが、今月号である2011年10月号で、私が興味を持ったり、みなさんが興味を持ちそうな内容を述べていきたいと思います。尚、項目順序に大きな意味はありません。ちなみに、Newtonにかいてあるものだけでなく、私の知識のある部分については肉付けさせてもらっています。もし間違えていたとしても責任は取りませんので悪しからず(笑)。




1.心筋の穴埋め
「損傷した心筋を、心臓にもともとある細胞で再生できるかもしれない」という見出しの内容です。ご存じのとおり、心筋梗塞などで心筋を損傷すると、壊死した組織は回復せず、残った心筋で生活しなければならないという「後遺症」を抱えることになります。
 ところが、最近になって心筋を再生できる「心筋前駆細胞」というのが存在することが明らかとなり、さらにその心筋前駆細胞がマウスの場合、心臓の最外層に存在することも分かったそうです。マウスでは壊死した心筋を、この心筋前駆細胞から作製した細胞で再生することに成功しているそうです。
 ヒトでも同じような治療法ができる可能性がでてきた、というところで記事は終わっています。私も身近な人が心筋梗塞で倒れました。最近だと、サッカーの松田選手も同じ病で若くして亡くなりましたよね。新たな医療技術により、心筋損傷によって亡くなる人を減らすことはもちろん、一度心筋を痛めた人でも、限りなく日常生活に戻れるようなことが可能になることを願ってやみません。




2.小惑星帯の探査から太陽系の起源をさぐる
 地球が存在する太陽系の起源を探る際、火星と木星の間にある小惑星帯がとても重要なのだそうです。通常惑星ができるとき、小天体同士が自らの重力で合体して形成されたといわれていますが、小惑星帯は惑星ができる前の状態である小天体が多数存在している、と。すなわち、惑星ができる前の状態が保存されているんですね。
 NASA小惑星帯のなかで、特にサイズの大きい「ベスタ(直径約530キロ)」と「ケレス(直径約950キロ)」という天体を目指し、小惑星探査機「ドーン」を2007年に打ち上げています。このように「大きな」小惑星は自らの重力も大きいため小天体の合体により発生する熱で全体がとけ、密度の大きいものは中心、そうでないものは外層というように分離が起こり、「分化天体」になります。これは、惑星形成では最終段階だそうです。

日本では映画にもなった、かの有名な「ハヤブサ」は小天体の中でも特に小さい「イトカワ(最大直径500メートル)」のサンプルを持ち帰るという、前人未到の大仕事をしましたが、これは太陽系誕生間もない状態を保持している情報を入手したことになります。一方、ここで話題となっているドーンは大きい小惑星を狙っているので、ハヤブサよりも後の時代の天体の情報を入手しようとしているとのことです。へぇ、という感じですが。

とりあえず、ベスタという小天体には特に大きな天体との合体の際の衝撃により生じた中央丘という地形の盛り上がりが観測できています。これにより、初期の惑星の内部の成分が明らかになる可能性があるとのことです。

太陽系はどのようにしてできたのか、我々のルーツをたどるスケールの違う旅に胸が躍ってしまいました。ハヤブサの後継機は、イトカワとは組成の異なる小天体(確か、炭素が含まれる天体)のサンプルを入手すべく、プロジェクトが動いているそうですね。ここのサンプルが入手できれば、生物のルーツもある程度わかるとか聞いた気がします。日本もこういうところで実績を上げ、世界に実力を見せたいところです!




3.太陽の異変
 最近の新聞記事でもありましたのでご存じの方もいるかもしれませんね。ここ数年、太陽の活動が弱まっているそうです。
 太陽の活動はおおむね11年周期で弱まったり強まったりというのを繰り返してきていたそうですが、2007年〜2010年にかけ、活動の弱い時期が続いているとのこと。活動の強弱は、黒点の多さ(多いほうが活発)で判断しているのですが、ここ数年黒点がほとんど現れない時期が続いているのだそうです。黒点とは強力な磁力線がでている領域であるため、太陽のプラズマ対流を阻害し、黒点付近には太陽の内部からの熱伝達を阻害され、周りより温度が低いために黒く見えるとのこと。
 17世紀後半(1645〜1715年)、今と同じような太陽の状態が表れていたという記録があり、マウンダー極小期といわれています。この時期、地球の気温も例年に比べて低かったということが、木の年輪などからわかっています。
 もちろん、太陽そのものが暗くなるので、地球に降り注ぐ熱量がへるというのもあるのですが、最近注目されているのは、太陽の活動が弱まることで宇宙線が地球に降り注ぎやすくなり、結果として雲が生じやすくなって地球が寒冷化する、というものです。これはまだ仮説段階みたいですが。
 いずれにしても、太陽の活動が弱まることでどのような影響が出るのか、検証が進むと期待されますね。



 ところで、オーロラってどうやってできるかご存知でしょうか?太陽の活動によって生じる太陽風が地球に向かってくる際、地球は自らの磁力線のバリア(磁気圏という)によって、その強力なプラズマが地球に降り注ぐのを防いでいます。もし、これがないと太陽風によって地球の大気は弾き飛ばされて、生物は存在できない環境になっていたとのことです。磁力線は北極と南極を結ぶようにでているので、太陽風の粒子の一部はその地球の磁力線に沿って地球の北極や南極に侵入する。この時の粒子(おもに電子)が高度100キロから300キロの薄い大気中の酸素や窒素に衝突して光を生じる。これがオーロラだそうです。




4.古代ギリシャ人と神々の世界

 今、国立西洋美術館古代ギリシャゆかりのいろいろな作品を展示しているそうです。古代ギリシャの神話の頂点に位置しているのが、不死の神々「オリュンポス12神」。最上位のゼウスを筆頭に、ポセイドン、ヘファイストス、アレス、ヘルメス、アポロンディオニュソス、アルテミス、アテナ、デメテル、ヘラ、アフロディテの12人です。Newtonに乗っていたお話を一つ。
 最上位のゼウスは浮気癖(?)があったらしく、正妻のヘラ(オリュンポス12神のひとり)を苦しめ、浮気相手をねたみ、その子供にも憎しみをもつ。ミュケナイ王国の王女と、ゼウスの間に生まれたヘラクレスもその「憎まれた」一人。ヘラはヘラクレスが赤ん坊の時に蛇に襲わせるが、ヘラクレスはその怪力で蛇を絞殺した(恐ろしい赤ちゃんです…)。その後ヘラクレスは成人後、3人の娘をもうけたが、再び登場したヘラによって狂気を吹き込まれ娘たちを自らの手で殺してしまう。この罪をあながうため、神託に従い12の難題に立ち向かい、不屈の精神で12功業を達成。この功績を認められたヘラクレスは、オリュンポスに迎えられ、不死となった(驚)。このヘラクレスこそ、オリンピックの創始者といわれていますよね。
 このような、ドロドロした話が多いのですが、古代ギリシア人の日常を描いていた側面もあるそうです。今から2千年も前の人であっても、ねたみ、うらみなど、現代となんら変わらないですね。当時そこらじゅうで侵略戦争が勃発していた事を考えると、現代の方がずっと幸せに違いないです。




5.高レベル放射性廃棄物の有害性は減らせるか

 やっぱりこの話題は尽きません。主観的な感想文になることをご容赦ください。

安定冷却ができず、崩壊熱が出続ける原子炉を冷やすというのは、さんざんマスコミとかでも報道されていましたね。震災直後、「3月XX日までに安定冷却できなければ、原子炉が臨界状態になって大爆発を起こし、半径600キロだかの範囲で人が住めなくなる」とかいう話(デマ)が流れたりとか….。臨界状態になるためには、非常に高い精度で燃料棒を整列させる必要がある、なんていうこと知っている上で言っていたんですかね…。一般人の不安をあおる、とんでもない発言です。この発言をしたのは政治家(議員)で、キャバクラとかで話していたと噂で聞きました。そんなところで酒を飲んでいる暇があるのなら、あなたが福島に行って冷却システム構築に尽力してください、と言いたくなります。すいません、前置き長くなりました。
 実は、放射性物質の問題はこれからといってもいい、というのも放射性「廃棄物」の処理が残っているからです。放射性物質は本当に厄介です。日本では「低レベル放射性廃棄物」と「高レベル放射性廃棄物」の2種類があるそうです。高レベルの廃棄物は使用済み核燃料から、再利用可能なウランとプルトニウムを取り出した後に残る廃液を、ガラスで固めたもの。放射線量は7シーベルトにも達し、普通の人間ならば20秒で即死する恐ろしいものです。これ以外の廃棄物を低レベルとして扱うとのことです(原発で使われた排気フィルター、原子炉の構造物、使用済み防護服など)。
 


 さて、本題はこれら廃棄物の処理方法。低レベルのものは、青森県六ケ所村で地下10メートルに埋められています。埋めるしか手が無いという時点で原子力の弊害を目の当たりにします。高レベルのものに至っては、地下300メートルよりも深いところに「保管」する必要があります。しかし、高レベル放射性廃棄物が安全なもの(天然鉱物のレベル)になるまでには、崩壊が進んで1000万年以上待たなくてはいけない。現段階でも高レベル放射性廃棄物のガラス固化体は2万3000本を越えているとの話なので、緊急度が高いのが想像できると思います。



 このように高レベル放射性廃棄物の長期保管を必要としてしまう原因は、廃棄物に含まれる「マイナーアクチノイド」というものです。このマイナーアクチノイドの崩壊を促進し、廃棄物の保管期限の短縮を図ろうとするのがNewtonで紹介されている「分離変換技術」です。マイナーアクチノイドとは、ネプツニウム(Np:半減期214万年)、アメリシウム(Am:半減期433年)、キュリウム(Cm:半減期18年)などのことを指します。これらは、放射線の中でも特に有害なα波を出すものとしても知られているとのことです。この技術のコンセプトは、核燃料を成分ごとに「分離」し、長寿命の放射性物質を短寿命なものに「変換」するものです。半減期が短くなれば、保管期間も短くなることになります。
 

 まずは、分離。想定されている工程として、使用済み核燃料棒から「マイナーアクチノイド」、「ストロンチウムセシウム」、「テクネチウムヨウ素」、「白金の仲間」、「その他」に分類します。ストロンチウムセシウム半減期は30年くらいなので、比較的半減期が短い。ヨウ素はテレビでもやっていたように半減期は8日。このように、半減期が長いもの、中くらいのもの、短いもので分離することで、長期間保管すべきそのものの絶対量を減らせることができるというわけです。放射性物質は、崩壊熱を出し続けるため、保管中も冷却が必要です。この冷却+保管が必要なものを、保管期限によって分類できることは、放射性廃棄物の処理の最適化につながるといわれています。
 

 次に変換。現在日本の商業で用いられているのは、軽水炉というもので、核分裂で発生した中性子を水で減速させて核分裂を連鎖的に起こします。冷却水に水が使われているものがこれです。軽水炉では、ウラン235の核分裂は効率よく引き起こせますが、マイナーアクチノイドとは核分裂を起こせない。一方、これと相反するのが高速炉。冷却媒体にナトリウムが使われていたのはご存じな方もいると思います。ナトリウムは中性子を減速させないため、核燃料の消費量を上回るプルトニウムが、ウラン238との反応で発生するというもの。変換という概念で使うのは、高速炉の方です。すなわち、通常の軽水炉では多く発生してしまうマイナーアクチノイドに高速の中性子を衝突させることで、マイナーアクチノイド核分裂を促進し、半減期のより短いものへ変換するというのがコンセプトとのこと。
 

 半減期の非常に長いマイナーアクチノイドを抽出した後、その高速炉をもちいて核分裂を起こさせ、マイナーアクチノイド半減期を短くするのと同時にその時発生する熱を用いて発電するというシステムを「ADS(Accelerator Driven transmutation System)」といい、まだ研究段階ですが放射性廃棄物の有効利用+保管期限短縮に効果があると期待されています。さらに運転が未臨界で行われることから安全性もより高いといわれているそうです。
ただしADSの実用化の目途は2050年頃で、さらにマイナーアクチノイドが変換されても数百年にわたる冷却保管が必要。さらに、原子力に対する不信感などもあり実用化までは前途多難と言われています。
 


 原子力は本当に後々まで尾を引くものだというのが改めてわかりました。たとえ脱原発に方向転換をしたところで、私の世代から考えても4世代、5世代に渡って放射性廃棄物と向き合わなくてはいけないわけです。この事実に関し、子供を持つ親として本当に重く受け止めなくてはいけないと考えています。皆さんも恐らくそうだと思いますが。



6.地震の予知について
これも、みなさん興味があることでしょう。週刊誌などでは、「地震を予知できた」という旨の見出しが出ていることがありますが、果たして科学的にはどうなのでしょうか….。

結論から言います。現段階での科学技術で地震の予知をすることはできていません。これだけは知っておいてほしいです。もちろん、動植物や気象の変化によって前兆を見た、という例はあるようですが、科学的には証明できていないみたいです。非科学的なものを到底否定する気はありませんので悪しからず。


 震災前後での被害地域のGPSデータによる地殻変動を多くの研究者が見直しているそうですが、今回のプレート境界地震で起こった前兆は分かっていません。大きなプレート境界型地震の前には、その領域が大きくずれるスリップと呼ばれる事象がおこるといわれていました。しかしながら、今回の震災前にその状況は起こっていないということが分かっています。これまでの仮定はある意味否定されてしまったことになります。



 では、後の手はないのか?というと、そうでもないようです。一つ可能性があるとして検証されているのが、「電子」数の変化です。これまでの大きな地震が起きる前後(東日本大震災スマトラ沖地震、北海道東方沖地震チリ地震など)で、上空の電子数が大幅に増加するということが「傾向として」とらえられているみたいです。これは、地震発生前に何らかのメカニズムで地殻がプラスに帯電したことにより、反対の電荷をもつ電子が上空に増えたといわれています。実験レベルで岩石に圧力をかけるとプラスに帯電することが確認されていることから、電子数の増加というのは一つの前兆をとらえるための指標として注目されているそうです。



 ただし、まだ実績があまりないので依存はできないというのが現段階での専門家の判断だそうです。いずれにしても、日本のみならず世界中の研究者がこのような研究を続けていることに感謝しています。そして、自然災害に対して我々ができることとして、「備える」ことが最善策なのかと思います。今後の研究に期待です。




今回はこのくらいにします。あまり見直さずに書いたので、誤字脱字があるかもしれませんが、ご容赦ください。


また来月にNewton読んだら書きます!