2013年12月号感想文

本ブログへのご訪問ありがとうございます。



気が付いたら3か月もあいてしまいました。申し訳ありません。毎月ちゃんとNewtonは読んではいたのですが感想文をサボってしまいました。


早速2013年12月号の紹介をしていきます!



1.2013年の科学に関するノーベル賞


今年は残念ながら日本人の受賞はなりませんでしたね。今年のノーベル賞は私の印象的にはとても「鉄板」です。

特に物理学賞は、文句なしでヒッグス粒子の発見でしょうね。その存在が証明されたわけですから。質量を生み出す素粒子の発見が今年のノーベル賞になるのは誰しもが予想したことでしょうね。

ただし、ヒッグス粒子の発見においては日本の貢献度も非常に大きいことは述べておく必要はありそうです。LHCの加速器ヒッグス粒子探究のためのアトラス実験装置は、その建設にあたり、資金面と技術面で中心的役割を果たし、16の大学や研究機関から110名もの日本人がヒッグス粒子の研究プロジェクトに参加しています。


同じ日本人として喜ばしいことです!





2.アイソン彗星がやってくる


このブログでも何度も紹介していることですね。アイソン彗星は50〜100年に一度見られる非常に貴重な彗星です。特徴は2つ。

1つはアイソン彗星の軌道の近日点距離(太陽に最も近づいた時の太陽の中心からの距離)が極めて近いこと。0.0125天文単位で187万キロメートルの距離まで近づきます。太陽の半径が70万キロメートルですので、いかに近づくかがわかります。このように近日点距離が極めて短い彗星をサングレイザーといいます。

そしてもう一つの特徴は、非常に大きいこと。アイソン彗星が発見されたときの地球からの距離は6.3天文単位もありました。これは木星よりも遠い距離。これほど遠い位置で確認できる彗星は非常にまれのようです。彗星は氷を主成分としているので、近日点通過後は太陽の光を浴びて氷が猛烈に蒸発し非常に明るい光を発すると期待されています。満月20個分の長い尾と、最高で−6等星にもなると期待されるアイソン彗星。私もこのために双眼鏡買ってしまいました......。尚、買ったのは以下のものです。





3.統計の威力


今月号の特集でした。私も仕事柄統計学を使います。実体験の部分で話をすると、思ったよりも威力を発揮するのですが、得られるもののすべてを鵜呑みにしてはいけません。データの誤差、使っている理論式の妥当性など、結果を踏まえた上で再度冷静に見直すことができないと大きな間違いになる危険性もはらんでいます。あくまでツールであることを認識しなくてはいけませんね。たまに、私の職場でも統計信者のような人がいますので.....


紹介されていたものを簡単に紹介します。

膨大なデータの中から、パターン認識などの解析技法を使って網羅的に「規則性」を見出す技術です。あるスーパーで購入したお客が次に買いそうなものをこれまでのデータから予測し、その買いそうと予測したもののクーポンをレシートに出して集客するなどの方法が例として挙げられています。

こういうのは最初のパラメーターを見つけ出すのがとても難しいんですよね....。技術としてはそれほど真新しいものではないのですが、やはり初期設定はスキルを要すると思います。


  • 相関分析・回帰分析

調べたい結果に影響を与える要素を抽出して、その要素と結果の相関関係を調べるのが相関分析。この結果を基に、要素から導き出される結果を予測するのを回帰分析と言います。結果に与える要素は、負の相関、正の相関、もしくは相関なしの3パターンがあります。散布図を見ながら要素が結果に影響を与えるか、慎重に調べていきます。

相関性のある要素が絞り込まれたら、それらの要素の組み合わせで結果を予測します。



ここまで書くと「これはすごい!」と思う方もいるかもしれません。私はこの相関分析、回帰分析を業務の最前線で使っていますが、これもスキルが必要です。というのも要素の抽出がまず難しい(というかこれが最も難しい)。本当に要素をもれなく出せている?というのは思ったよりも難しいです。さらには相関の理解。多くの要素が相関があったとしても、散布図上非常にばらつく傾向があります。正の相関なのか、負の相関なのか、それともやっぱり相関は無いのか.....。かなり悩ましいです。

そして最後の回帰分析。回帰分析は1次式による予測を行います。直線近似ですね。曲線近似はできません。この回帰分析の段階で要素が欠けていたり、相関の無い要素が入っていると、予測値がずれる可能性が高まります。そして、実際予測値は想定よりもばらつきます。あくまで傾向をつかむ、という考え方が正しいでしょうね。


これも有名ですね。人の死亡率と支払う保険金から保険料を算出するやりかたです。例えば、30歳の日本人男性10万人に1年以内の死亡保険金1000万円を設定するとします。30歳の1年以内の死亡率は0.086%です。すると10万人当たり86人が無くなるので、支払う保険金は8億6千万円。一人当たりでこの金額を賄うには10万で割って、8600円。当然企業であれば、この金額に利益、各種経費などを乗せるのでもっと高くなりますが....。



世の中の多くは正規分布で成り立っている(と言われています)。そして平均の周囲のどれくらいの範囲に集まっているのか、を示すのが標準偏差です。例えば標準偏差1の間には約68%のデータが集まっています。



  • 仮説検定

得られた結果の確からしさを調査することを検定と言います。これも私は実務でよく使います。例として挙げられたのは新薬と偽薬を用いた症状改善結果が「偶然起こったものなのか」、「薬による効果なのか」を調べるやり方です。この場合には仮説は「新薬と偽薬の効果に差異がある」という仮説と、「新薬と偽薬の効果に差異はない」という仮説をたて、差異はないという可能性が5%以下であれば差異があると判断することができます。


記事の中にも書かれていますが、統計はあくまでツールであり、ツールであるということはそれを使う人のスキルが大きく影響します。私は統計を使いながらも、散布図などの見え方という定性的な感覚を大切にしています。統計という定量評価と視覚という定性評価、その両方があって初めて力を発揮するような気がします。




4.ボイジャー1号、太陽圏を脱出



これも一部メディアで紹介されていましたね。遂に人工物が初めて太陽圏を脱出しました。太陽圏とは、太陽から放出される陽子や電子などからなるプラズマガスが届く範囲のことをいいます。

この太陽圏の外側に脱出したのか否かの評価は非常に難しかったようですが、プラズマ内で電子の集団が揺れ動いて波のように伝わるプラズマ波の周期からプラズマの密度を調べたことで最終判断ができたようです。2013年4月にボイジャー1号が計測したプラズマの密度は、まだ太陽圏にいるボイジャー2号の40倍でした。これは、太陽圏の外である恒星間空間では、星間物質によりプラズマ濃度が急上昇するという理論に合っており、これによりボイジャー1号が太陽圏外に出たと判断されました。


その後は2020年くらいまでは原子力電池の電力により稼働中の観測装置を動かすことができるが、2025年くらいまでにはすべての観測装置が停止すると考えられています。ただし、位置を示す信号だけはその後も10年程度発信できると考えられています。これからどのようなことを知らせてくれるのか、今から楽しみです。


最後にボイジャー1号に搭載sれているレコード盤について。「ゴールデンレコード」と呼ばれるこのレコード盤は、地球の生命や人類の文化を伝える音や画像が記録されています。地球外生命体に発見され、解読されることを願ってのものです。



以下のサイトでは実際に収録された音や挨拶などを聴くことができます。
http://voyager.jpl.nasa.gov/spacecraft/goldenrec.html






今月号の紹介はこの辺りにしようと思います。購入した双眼鏡で、アイソン彗星を見ることが楽しみです!