2012年11月号

少し間が空いてしまいましたが、感想文です。すっかり秋めいてきましたね。


10月は大体、週休三日制の生活でした。いいなぁー、休めてと思った方!それは誤解でございます。土日+月曜と休みが多かったのですが、家でのんびりできた日はなかったと思います。来客、子供の検診、検査、子供の行事(運動会、お祭り)でほとんど埋まっていました。どれも一日コースです。会社のほうが、楽と感じたくらいです。自分のペースで日々過ごせないこの状況。歳の近い4、5歳までの子供が複数いる方はとてもよくわかってくれるのではないでしょうか。


つくづく、子育ては体力勝負+世のお母様方はパワフルだと思う今日この頃です。あ、もちろん子供がいる幸せはプライスレスです....。



と、すいません。ぼやきから入ってしまいましたが感想文にいきます。




1. 強くて高い゛砂の城
公園の王道、砂場。そこでお団子などを作った思い出をお持ちの方もいるとおもいます。砂場でもしつくれると目立つものとして、山や城などがあります。イラン、基礎科学高等研究所の研究者が、円柱形の砂の城をつくり、どのような条件で高い城が作れるかを検証したそうです。


その結果、城の最大高さは、土台となる円柱の半径の3分の2乗に比例し、砂の中に含まれる水分が1%程度が最適であると突き止めたそうです。



この情報をベースに、子供と砂場で高い塔を作ってみようかな.....。



2. 神経の別ルート
人を含む霊長類の指先は、他の動物に比べて格段に器用です。これは運動を司る脳の領域と、指の運動神経が直接つながっているためだとされる。


生理学研究所の木下正治博士らは、霊長類の特定の神経細胞の機能をオンやオフにできる技術を開発し、猿の間接的な神経経路と指先の動きの関係を調べたそうです。猿の脊髄にある介在神経の働きを一時的にとめ、間接的な神経回路を遮断しました。結果、餌を指でつかむという能力が低下したそうです。これは、運動神経による脳と指のつながりだけでなく、介在神経回路も指先の器用さに影響を与えたということがわかったそうです。



神のつくったこのからだ。いまだにわからないことだらけですね。



3. 高まる再発リスク
心筋梗塞脳梗塞は再発しやすい病気としてしられています。動脈の内側にできた脂質を多く含む隆起(プラーク)が破裂した結果、血栓ができることで引き起こされる。しかしながら再発のくわしいしくみは不明だったそうです。


梗塞を一度患うと、梗塞が起きる前よりもプラークが大きくなる傾向をアメリカの研究者が発見しました。プラークを増大させる原因となっているのは、白血球の一種である「単球」というものだそうです。この単球のもととなる細胞が、梗塞による伊丹などの刺激により、骨髄で作られる。結果、単球がプラークに集まり、プラーク増大や破裂につながるという悪循環がみられたとのこと。


私の親戚も梗塞を患った人がいます。今回の発見は、新たな治療薬の開発につながる可能性があるため、今後の動向がとても楽しみです。




4. ロボットが触った感触があなたに伝わる
医療や災害の分野でひとにかわって活躍するロボットの開発が盛んに行われるようになってからそれなりの時間が経過しましたね。昨年の未曾有の大震災においてもロボットがそれなりの役割を果たしていました。今後は人が近づけないような現場で、ロボットの活躍がさらに期待されます。


そんな中、これまでのロボット開発と少し異なるアプローチが紹介されています。この開発のコンセプトは、「感触」を伝える、というところに主眼がおかれています。感触は「圧力」、「振動」、「温度」という3つの主パラメーターによって再現できるとのことです。


本研究を行っているのは、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の舘特任教授らの研究グループです。開発されたロボットは、ロボットにとりつける触覚センサーと、操縦者が手に装着する感触ディスプレイから成る。触覚センサーで得られた、圧力、温度、振動に関するデータを、それぞれ異なるセンサーで感触ディスプレイに電気信号として伝えられます。圧力は、電気信号を動力に変え、振動は電気信号を皮膚の微細な動きにかえて再現し、発熱と球熱を再現できる電子部品で温度を再現するそうです。


まだ、現段階では指先の範囲のみでの感触再現にとどまっているため、将来的には手の平全体の感触も再現できるようにしたいとのこと。サテライトでの手術や災害救助以外でも、スポーツや娯楽でも使用できるようになると期待されているそうです。





5. 地球そっくりな惑星は存在するのか
世界中の研究者が地球に似た惑星の発見を目指して観測を行っています。この観測を急激に推し進めたのは、NASAが投入したケプラー衛星です。1995年にはじめて太陽以外の恒星を公転する系外惑星が発見されて以来、2010年までの15年間で500個以上の系外惑星が発見されました。しかし、ケプラー衛星はミッション開始後のわずか16ヶ月で2321個もの系外惑星を発見するという、目覚ましい成果をあげています。ちなみに、ケプラー衛星は惑星が恒星の前を惑星が通過するときの光が弱くなるという現象を使って惑星探査をおこなっており、この方法はトランジット法と呼ばれています。




地球ににた惑星を発見するためにキーとなるのは太陽に似た恒星です。恒星の残寿命、色、直径などから恒星の種類は8種類(M,K,G,F,A,B,O型星)に分けられており、太陽はG型星(色:オレンジ〜黄色、直径:太陽の0.8倍〜1.1倍、寿命:約100億年)に属しています。この寿命は、惑星が生命を育むのには十分な寿命といわれています。G型星はある観測に基づくと、全銀河系に存在する恒星の約8%を占めていると言われています。G型星よりも大きなF,A,B,O型星は生命を育むには寿命が短く、G型星よりも小さいM,KについてはGよりも暗いため惑星が恒星に近づかなくてはならず、有毒な放射線にさらされる。Gは生命を育む惑星にとって、まさにちょうどいい恒星ということになります。



一方、惑星についてはどうでしょうか。地球ににた惑星というのは実はまだあまり多く発見されていません。発見されている多くの惑星が地球よりも「大きい」傾向があります。これは、これまでの計測がトランジット法(上述説明参照)を用いているため、質量の大きな惑星のほうが発見しやすい、ということにゆらいしています。近年、この観測精度も向上して来ていることから、今後はより地球ににた惑星の発見が期待されています。実際最近発見されたケプラー20eとfは、ともにG型星恒星を公転する、地球とほぼ同じサイズの惑星です。ただし、恒星からの距離が短すぎるため、表面温度は400〜800°Cに達しているようですが....。


そんな中、興味深い惑星が発見されています。ケプラー22bという惑星です。G型星からの距離が適度で水が存在できていると考えられている惑星です。水が存在できる惑星の好転範囲をはハビタブルゾーンといいます。これは以前、この感想文でも紹介しました。しかし、この惑星は地球の2.38倍もの大きさがあり、質量も大きいと考えられています。このため、重力が地球よりも圧倒的に強く、陸地が存在できないため、一面海の惑星と想像されているそうです。この惑星の位置は地球から600光年先にあります。



ケプラー22bが現段階では生命が存在するのにもっとも有力と考えられていますが、計算上、地球ににた環境にある惑星はいくつあるのでしょうか。銀河系全体の恒星の数は1000億個。G型星の割合は約10%。G型星に地球サイズの惑星が存在するのに確率20%。ハビタブルゾーンに惑星が存在する確率が50%。これらをすべて掛け合わせると約10億個という結果がでてきます。つまり、銀河系には計算上10億もの地球と類似した惑星が存在しているということになります。



専門家の間では、地球と類似した惑星は必ず発見され、生命体も見つけられるのでは、といわれています。そいういうものが見つかる日を楽しみにしてみたいものです。


6. 睡眠の深いなぞ
みなさんが人生の1/3は行っているはずの睡眠。これらについて実はわからないことが多いということは意外としられていないみたいです。


本題に行く前にひとつ事例が紹介されています。1964年に当時の断眠世界記録の260時間に挑戦した青年がいました。この青年は最終的に264時間の断眠記録を樹立しますが、白昼夢や幻覚が見え、感情も不安定になり、記憶の欠如や言語能力の低下が起こったそうです。これは専門家も立ち会いのもの行ったものであり、極めて危険なことなので真似は厳禁だそうです。実際、ラットを用いた実験では、断眠2週間でがんにかかり、4週間で死亡したそうです。



睡眠でもっとも重要な効果は脳の休息と回復です。なんと、脳のエネルギー消費量は、体全体のエネルギー消費量の18%にも達します。脳の重量が体重のわずか2%であることを考えると、いかに脳を使うことでエネルギーを消費するかがわかります。それだけ高度な器官であるゆえ、休息させないと脳そのものが損傷をうけることも犬の実験でわかっているそうです。脳の休息について重要な役割をするのは脳幹です。脳幹は脳を眠らせるという睡眠導入と、起きている間に特に使用したところを集中的に休ませ、さらに睡眠中の呼吸や心臓の動きといった生命維持も管理します。一言に脳の休息といっても複雑ですね。



さらに、睡眠によって胎児の脳の成長が促されるのもわかっています。レム睡眠という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。レムとは、(Rapid Eye Movement)の略で、その名の通り眼球が高速で動いている状況を示しています。胎児のレム睡眠は、脳幹から脳の神経細胞の活動を刺激する信号をだすことで、大脳の発育を促す、と考えられています。まさに、寝る子は育つですね。一方でノンレム睡眠においては、眼球の運動はほとんど見られず、大脳の活動もほとんど起こっていない状態になります。ノンレム睡眠は本当の意味で脳の休息になるので、成人となるにつれノンレム睡眠の割合が増えていきます(成人のノンレム睡眠は、睡眠全体の約80%)。


さて、一般的な睡眠のシステムですが、眠くなるとよく手足が温かくなる、といいますね。これは、内蔵や脳の温度を下げるため放熱する、という現象によって起こります。


そのあと、睡眠に入ると成長ホルモンが大量に放出されます。これにより、子供の成長を促し、成人については疲労回復の役割を果たすこととなります。


ここで、ひとつ快適な眠りをするために必要なことについて紹介したいと思います。最近、度が無いブルーライト対策用メガネが売れている、という話はご存知でしょうか。実は、近年波長が460〜470ナノメートル前後の光が体の活動を抑え、眠気を誘うメラトニンというホルモンの分泌を妨げる、ということがわかってきました。このブルーライトは、パソコンや携帯の画面、蛍光灯などから多く発生しています。ブルーライトを通さないメガネを夜にかけるというのも快適な睡眠には必要かも知れませんね。私の記憶違いだったかもしれませんが、このブルーライトは目の老化にもつながる、と紹介している番組を見たこともあります。波長が短いから分子を傷つけるちからが、他の波長の光と比べて強いのでしょうね。



最後に、紹介されていた睡眠に関するQ/Aを紹介して、このコーナーを終わりにしたいと思います。


>万人に適用できる理想的な睡眠はある?
答えはノーです。
実は、適した睡眠の方法、睡眠時間、入眠時間に正解は無いそうです。ですので、他の人は短眠なのに自分は長く寝なくてはいけない、という他人との比較で悩む必要は無いようです。その人にとって問題があるか無いかは、昼間の活動に支障があるのかないのか、というところで判断すればいいそうです。



>寝付きをよくするには?
ポイントは体温を下げるということです。眠る2〜3時間前は体温をあげる活動である運動や食事は控えたほうがいいそうです。


適量のアルコールは寝付きをよくするものの、アルコールが代謝された後は覚醒作用が働くため、睡眠全体の質を低下させてしまうため注意が必要です。


すでに紹介しましたが、ブルーライトを避けるという意味では、パソコン、テレビ、携帯といったものもさけたほうが好ましいでしょうね。


>月曜の朝にすっきり目覚めるには?

週末も平日と同じ時間に起きることがとても重要だそうです。

メラトニン(上述参考)は朝起きるとリセットされ、その14〜16時間後になって分泌量が増えて眠くなる、というサイクルを繰り返しています。よって、メラトニンの分泌とリセットのサイクルを規則的にすることがとても重要になります。ですので、朝起きる時間と寝る時間を、週末と平日であまり変化させないのがひとつ目のポイントです。

もうひとつは、週末の14〜16時くらいに80〜100分程度の仮眠をとることです。この時間帯はホルモンの分泌リズムによって自然に眠気が高まる時間帯であるため、仮眠をとりやすいとのこと。たしかに、そうですね。



>学習と睡眠の関係は?
ひとつ興味深い検証結果を紹介します。これは、科学的に証明されたことなのですが、学習した後、すぐに眠ると記憶が定着しやすいということです。これは、様々な実験で証明されてはいますが、残念ながらそのシステムはいまだにわかっていません。



どうでもいい話ですが、私は大体4時45分に起床し、6時半に出社する、という生活リズムを作っています。最初はたいへんでしたが、できてしまうとそちらのほうが楽ですし、朝は仕事も進めやすく、時差のある海外とのやり取りもやりやすい上、早く帰って家族と触れ合う時間も取れています。


唯一の悩みは、他の人と時差を感じることです。不通に出社している人と3時間近く時間感覚が違うので、みんなが元気でも、自分は疲れている、なんてこともよくあります。




7.鼻血

シンプルではありますが、意外としられていないところもあるようなのでここで触れてみたいと思います。



突然ですが、鼻血はどこから出るのが多いのでしょうか。鼻の穴から2cmくらい奥にあるキーゼルバッハ部位という毛細血管が集中している場所からの出血が多いようです。これは、強い衝撃を受けたときでも同様だそうです。


ただし、キーゼルバッハ部位ではないところからの出血には注意が必要です。特に高齢者等に多いようですが、数百ミリリットルを超えるような出血は、キーゼルバッハ部位よりも奥からの出血となります。このような出血は高血圧による動脈硬化や、全身性の病気が潜んでいる可能性があります。その他、白血病血友病、オスラー病といった、大きな問題となる鼻血もあるので、注意が必要です。


鼻血の正しいとめかた、みなさん知っていますでしょうか?ティッシュを詰めたり、上を向くと答えた方!不正解です。


正しくはキーゼルバッハ部位(鼻先から2cmくらいの場所)を押さえてしたを向く、です。もし自分や他の人が鼻血をだしていたら、このように止めるのが正解だそうです。



今月はこのあたりまでにしておきます。
寒い季節となって来ましたので、お風邪などひかないようご注意ください!