2014年1月号

本ブログへのご訪問ありがとうございます。



今日は、毎月恒例のNewton感想文です。今月の科学ニュースはどのようなものがあるでしょうか。




1.食中毒流行の源

今は寒い時期ですのでそれほど多くの話を聞きませんが、夏を中心に食中毒が発生という話はよく聞きますね。今月の記事の一つに、どのようにして食中毒が流行するのか、という調査結果がありました。

サルモネラ菌の一種である「DT104」は食中毒を引き起こす病原菌の一つです。この菌は抗生物質などに耐性があるため、流行性があると一因です。これまでの考えでは、DT104による食中毒の流行は、その菌に汚染された動物の肉を通じた感染が原因であると考えられていました。

しかしながら、イギリスのサンガー研究所のメイザー博士らは、人または動物に感染したDT104の兵法で、抗生物質への耐性にかかわる遺伝子を比較しました。すると、人から分離されたDT104に関してのみ、抗生物質への耐性にかかわる様々な遺伝子領域が見つかりました。

このことはDT104の流行は、菌に感染した肉などを食べることで広がるのではなく、人から人へ感染することが主原因であることを示唆しています。今後も多くの標本を調べることで、菌の耐性の原因を明らかにすることが食中毒流行を防ぐために重要であると考えられています。




2.恐竜の羽毛と飛行の関係

恐竜の羽毛は、その飛行能力にどのような効果があったのか。化石から推測された様々な形の翼形の模型を製作し、人工的に発生した嵐の中で飛行性能を比較するという研究成果が発表されました。鳥に似た形の小型羽毛恐竜のミクロラプトルは1億年〜1億4千5百万年前に生息していました。今回はこのミクロラプトルをモデルに検証が行われています。

ミクロラプトルは羽毛を持っており、その羽毛を模擬した模型で飛行能力を比較しましたが羽毛の有無はほとんど飛行安定性に関係が無かったとのことです。鳥と同じ祖先をもつ恐竜ですが、羽毛が飛行安定性に寄与するのはずっと後の時代だったのかもしれません。






3.発症8時間以内の脳梗塞を治す「血栓回収療法」

 脳の血管が詰まる脳梗塞や血管が破れる脳出血は、日本で年間130万人以上が発症し、そのうち12万人が亡くなっています。そしてそのうち7万人が脳梗塞でなくなっており、日本人の総死亡数125万人の死因第4位でもあります。そして、脳梗塞は要介護といった後遺症になる原因の第一位です。

 脳梗塞の治療は時間との闘いです。発症から4.5時間以内であれば2005年に認可されたt-PAという血栓を溶かす薬を使うことができます。しかし、検査や診断に1時間は必要であるため、3.5時間以内に病院に到着する必要があるそうです。

 このt-PAでも血栓が溶けない(大きすぎる、もしくは4.5時間が経過)場合は、カテーテルによる回収が試みられます。2011年に認可された「ペナンブラ・システム」は、血栓の掃除機のようなものです。足の動脈から入れられたカテーテル血栓に到着すると、ワイヤーを血栓に突き刺し、前後に動かすことで血栓を砕きながらカテーテルから吸い込みます。これは第二世代と呼ばれるやり方で、アメリカでは8割を超える血栓除去の実績を残しているとのことです。現在はステントを用いた第三世代が最新で、従来の方法よりも血管に負担をかけずに血栓を回収できる方法として欧米では主流となっています(日本でも2014年に認可予定)。

 ただし、実際にこのようなt-PAカテーテルによる手術を受けられるのは全体の数%。というのもこれらの治療方法は新しいためどこの病院でも行えるわけではないようです。渡航血栓回収療法は治療を行える施設が全国で200〜300施設という状況です。


 今後新しい治療法が行える病院が増えていくことを期待したいですね。






4.天文学32テーマで星と宇宙が断然面白くなる

今月号の特集でした。ボリュームも結構あるのでQ&A方式でかいつまみながら書いていきます。とても基本的な部分もありますが、復讐兼ねてですかね....。



Q. 町明りの無い夜空では、肉眼で何個くらいの星が見えるか?
A. 真っ暗な夜空であれば6等星までみえる。数は4000個。近年のプラネタリウムなどはこの6等星よりも暗い星を投影している。



Q. 1等星、2等星って何?
A. 星の明るさを示す指標。こと座のベガ(織姫星)が0等星で、5等との明るさの差が100倍になるように定められている。そのため、1等の差異は明るさにして約2.5倍の明るさとなる。恒星を除いた夜空に見える最も明るい星はシリウスで、-1.5等星。



Q. 肉眼で見える太陽の次に近い恒星までの距離は?
A. ケンタウルス座α星。距離は4.3光年。



Q. 星の観測に適した場所は?
A. 町明りが少ないのに加え、海の孤島や標高の高い場所、また乾燥した気候の場所が適している。高地は空気が薄いため、海の孤島は一定の層流が吹くため大気の乱れが少なく、また乾燥した気候では晴れた日が多く、雲はもちろん、空気中の水分も少なく、大気の透明度が高い(水分は、赤外線やサブミリ波をよく吸収する)。



Q. 星座の星の配置は大昔から変わっていない?今後も変わらない?
A. 数十年という短時間では変化しない。しかし、数十万年という時間スケールでは星の配置が変わり星座の形も変わる。極めて遠い位置にある星の動きは、地球上からの見かけの動きとしては非常に小さいことによる。



Q. 星にはなぜ赤、黄、白、青といった色になるのか?
A. 恒星の表面は数千℃から数万℃と極めて高温。高温の物体はその温度に応じて放射する色も変化する。高温の方が高エネルギーの光を出す、つまり波長が短いので白や青といった色に見える。



Q. 彗星や流れ星の正体は?
A. 彗星の正体は汚れた雪玉。太陽光で温められるとガスやちりを噴出し長い尾をつくっている。流れ星は、彗星などから放出された”ちり”が大気圏に飛び込んでくる歳に高温になって輝くもの。



Q. 天文学者が使っている望遠鏡はどのようなもの?
A. 遠くの天体からやってくるかすかな光を大きな「凹面鏡」で一点に集め、感度の高いCCDで検出している。凹面鏡が大きくなるほど集められる光の量が増え、遠くのものが見えるようになる。この反射型望遠鏡は屈折望遠鏡と異なり天体の像がぼやけるという問題が発生しない。



Q. 世界にはどのくらい大きな望遠鏡があるのか?
A. 一枚の反射鏡では口径8.3メートルの巨大双眼望遠鏡LBTが最大。複合鏡では口径10.4メートルのカナリー大型望遠鏡GTCが最大。計画が進行中の次世代大型望遠鏡TMTは複合鏡で口径が30メートルの予定。電波望遠鏡では口径が300メートルになるものもある。



Q. 赤外線宇宙望遠鏡やX線宇宙望遠鏡は、なぜ宇宙に打ち上げなくてはならないのか?
A. 天体からの光のうち、可視光線、一部の紫外線、赤外線、電波以外は大気に吸収され地上には届かない。そのため、赤外線望遠鏡やX線望遠鏡などを宇宙に打ち上げる必要がある。



Q. 星までの距離はどのようにして測るのか?
A. 比較的近い星の距離を測るのは「年周視差」が一般的。地球は太陽の周りを公転しているため半年後には太陽に対して正反対の位置に移動する。すると星の見える方向が微妙にずれます。このずれが「年周視差」でこの測定による誤差は5〜10%程度。
 これよりも遠い星はみかけの明るさから推定する。これは、遠い星ほど暗くなる(物の明るさは距離の2乗に反比例して弱まる)という性質を用いている。そして、この明るさの基準をセファイド変光星(明るさの変動周期によって、真の明るさの特定が可能)を用いる方法がある。



Q. 星の大きさはどうやって測るか?
A. 複数の望遠鏡を組み合わせて大きな望遠鏡に相当する”視力(分解能)”を実現することで恒星の大きさを測定している。



Q. 恒星はどのようにして生まれるのか?
A. 分子雲と呼ばれるガスの濃い領域の中で恒星は誕生。分子雲で密度の濃い領域は自らの重力で収縮し、最終的には高温高密度になった中心部で核融合反応が開始される。



Q. 恒星はどのような死を迎えるのか?
A. 太陽の質量の約8倍以下の恒星は、ガスを徐々に周囲に放出して白色矮星になるという穏やかな死を迎える。太陽の8倍以上の質量を持つ恒星は超新星爆発をおこし、壮絶な最期を迎える。



Q. 中性子星ってどんな星?
A. ほとんどが中性子でできた天体。非常に高密度で半径は10キロほどだが、重さは太陽と同じくらい。密度は10億トン/cm3。磁極からパルサーと呼ばれる電波ビームを発生している。超新星爆発の後にできる星である。



Q. ブラックホールは真っ黒で見えないはず。どのようにして見つけるのか。
A. ブラックホールは直接観測できない。ブラックホールの重力の影響を受けて運動するガスや恒星の観測によって、間接的にブラックホールが存在する証拠が得られている。このような間接的な観測によって天の川銀河には4億個程度のブラックホールがあると考えられている。



Q. 宇宙は膨張していると考える証拠は?
A. 天文観測によって、遠くの銀河からやってくるほど波長が引き伸ばされるということがわかっており、この事実を証明するのに自然の考えが「宇宙が膨張しているために、光がのばされている」というものである。



Q. 宇宙に始まりはあるか?
A. 宇宙には始まりがあったと考えるおが現在の宇宙論の標準的なシナリオ。しかしながら、このことは宇宙論や天文観測で証明できているわけでなく、宇宙は誕生と死を繰り返している、という説も提唱されている。



Q. ダークマターダークエネルギーとは?
A. ダークマターは目に見えないが周囲に重力を及ぼす物質。ダークエネルギーは宇宙の加速を引き起こすとされるエネルギー。どちらもまだ存在が証明されていない。



Q. 宇宙の年齢は?
A. 138億歳と言われている。これは宇宙の膨張速度から宇宙のおよその年齢がわかるということによる。さらに宇宙背景放射の観測結果を組み合わせると、宇宙年齢をより正確に推定することができる。



Q. 宇宙は有言か、無限か?
A. まだ結論は出ていない。ただし、有限としてもとてつもなく広いことがわかっている。






今月号の感想文はこのくらいにしておきます。すでに2月号が手元に来ているので早く読まなくてはですね!